似顔絵には、様々な魅力があるが故、人々を楽しませたり、笑顔にしたり、幸せな気持ちにしたり・・・といった、色々な効果が期待できます。「秘められた力」と言いますか(笑)、長年似顔絵に携わってきた者から言わせていただければ、本当に底知れぬパワーがあるんですよね。
「優れたコミュニケーションツール」のページでも取り上げたような、病気の患者さんのモチベーションを高めたり、ご老人などが人生に改めて意味を見出したりするといった、心を癒すセラピーとしての効果なども、その一つです。
ただ、それ以外に、似顔絵が、そのモデル(似顔絵の対象)に与える効果として、忘れてはならない大事な効果があります。
それは、モデルの方が、「思わぬ自分に気付く」ということなのです。
少し洒落た言い方をすれば「自分と向き合うことが出来る」といったところでしょうか。
つまり、似顔絵を描いてもらうことで、思わぬ自分の特徴に気付くことがあるんです。
自分の顔は、ほとんどの人が鏡で毎日見ていて、もはや十分に見慣れてしまっているためか、周りにはいったいどう見えているか、どのように映っているかということが、なかなか分からないものです。
こんな話を聞いたことがあります。美人やハンサムって、実は自分で美人やハンサムであることが分かっていないケースがあると。毎日鏡で自分の顔を見ているために、見慣れてしまって、自分の顔の出来の良さが分からなくなっているんだと(笑)。周りが「美人だ」「かわいい」「ハンサム」「かっこいい」と騒ぐから意識しているだけで、自分ではよく分かっていないものなんだと。逆に、すっぴんとか、寝起きの顔とか、イケていない自分の顔もしょっちゅう見ているから、なおさらなんだと。
ん~全員が全員そうではないような気もしますが(笑)、確かにそういうケースもあるのかもしれないですね。
・・・と、話を戻して。
とにかく、似顔絵によって、「私って、他人からはこんな風に見えていたんだ・・・」と、改めてそれが分かるというのは、大いに意味のあることなのです。
※ただし、これは非常にデリケートな問題であり、描き手としては注意が必要です。
その辺りは、以下のページに詳しいので、ぜひご参照くださいませ。
→「ありのままを描けばいいというものでもない?」
→「ありのままを描けばいいというものでもない?(その2)」
「本人よりも本人らしい?」のページでも触れましたが、似顔絵は、本人の顔の特徴を「よりリアルに、より大袈裟に表現する」、言い換えれば「極端にデフォルメする」ことで、「本人よりも本人らしい」という感覚を生じさせるのです。
それは、本人すら気付かなかった本人の特徴に、気付かせるということでもあります。
似顔絵で改めて自分と向き合うことで、自分の顔が好きになったという人さえいます。
かくも似顔絵は、人の心を揺さぶり、大きく動かしてしまう可能性があるものなのです。