似顔絵にまつわるエピソード(その21)|似顔絵の描き方が驚くほど上達する方法

(※とある男性の手記です)
こっちを向いて、ちょっとはにかむ、彼女のそんな表情が大好きだ。

その一瞬を、その表情を、無性に残しておきたい時がある。

そんな時、そそくさとカメラを構えて、とかでは、なんだか興醒めだ。そもそもそれでは、彼女も構えてしまって、違う表情になってしまう。

だからといって、常にカメラをスタンバイしておいて、こそこそと隠し撮りする訳にもいかない。

そんな時、気づかれないように、サラサラっと似顔絵が描ければ、その一瞬を、記録に留めておける。

彼女のベストショットを、そっと残しておけるのだ。

隠し撮りならぬ、隠し描きだ。

ぼくがそんなことをしていたのを知った時の、彼女の表情がまた、絶妙だった。

少しびっくりしたような、だけどちょっと嬉しいような、何とも言えない表情だった。

残念ながら、その一瞬を、残しておくことは出来なかった。

そして今ぼくは、彼女の似顔絵を描く必要はない。

我が家にいながらにして、間近にある彼女の表情を、記憶というキャンバスに、毎日刻めるからである。

この春には、新しい命も授かることになっている。

恐らくそれは、彼女と同じように、記憶に残る表情を、ぼくに見せ続けてくれるのだろう。

———–

なんだか無性にほっこりする話ですね。「記憶というキャンバス」の辺りに、少し知性も感じさせてくれます・・・(笑)。これからも家族みなさんで、幸せに暮らされることをお祈りしております。

タイトルとURLをコピーしました