似顔絵にまつわるエピソード(その35)|似顔絵の描き方が驚くほど上達する方法

(※とある男性の手記です)
初めは、プロ野球選手とか、サッカー選手とか、もう少し一般的な夢を描けないものかと、正直思うところはありました。

でもそれは、息子が希望している道に携わっている方々には、大変失礼なことであると同時に、大きな偏見と勘違いに満ちている考えであったこと、今ではよく分かっています。

何のことかと申しますと、先日、小学校にあがったばかりの息子が、絵の道に進みたい、人の顔とかを描いて暮らしたいと、切実に訴えてきたのです。

子供の夢などころころと変わるものですし、これまでだったら、笑って受け流すことが出来たのですが、その時はそんな受け流しは到底許されるものではないと感じてしまうほど、息子は真剣だったのです。

考えてみれば、そんなことを言い出したのは、今に始まったことではなかったのでした。幼稚園でちょっとしたスケッチをしたり、友達の顔を描いたり、母の日に母親の顔を描いたりした時に、ことごとく先生や友達から褒めちぎられて、気を良くしていたらしいのです。その度に、子供ながらに何となく、そんなことを(仕事として)ずっとやっていきたいという気持ちが強くなっていったようなのです。そしてそれは、「絵を描くのが好き」「似顔絵褒められて嬉しかった」「大人になったらもっといっぱい絵を描きたい」などという言葉で、私に対しても散々訴えられていたはずなのです。

それを私は、「プロ野球選手になってお金持ちになってよ」「サッカー選手は女の子にもてるよ~」などといった軽率な言葉で聞き流してきたのです。ことここに及んで、子供の言葉にいかに真剣に耳を傾けていなかったかを痛感し、私は深い自己嫌悪に陥りました。

それから私は、まだ早いとはいえ、美術大学やら、関連の専門学校やら、そしてその道で名を馳せている人たちのことやら、あらゆることを調査しました。客観的に見れば、大層な親バカに映るでしょうが、それが子供に対するこれまでの私の態度についての、罪滅ぼしの気持ちの表れでもあったのです。
そして、よく分かりました。その道がどれほど大変で険しいものであることかが。単にその道で生計を立てるとか、名声を得るとかいったことが難しいということだけではなくて、いかに奥が深く、高尚で玄妙で、一筋縄ではいかない道であるかといったことが、痛いほどよく分かったのです。

とはいえ、まだ小学生故、子供がどこまで本気なのかは未だによく分かっていない部分もあります。でも今は、親として、威厳と誇りを持って、子供が思う道を進むことについて、全力で支援したいと考えています。

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