特に仕事としている訳ではなくとも、趣味や特技として似顔絵を描き続け、それが生きがいになっているとまで言い切る人は実は結構いらっしゃいます。そしてそれが時折メディアに取り上げられたりもするのです。
以前、こんな話がありました。
葬儀において、亡くなった方の在りし日の姿を見ることが出来る大事な遺影。祭壇に飾られるものですが、父親の葬儀において、遺影に使用する都合の良い写真が見つからなかったため、試しに似顔絵を描いてみたという方がいました。
遺影として使うことが出来るくらいですから、大変リアルな(写真のように写実的な)ものだったに違いありません。そしてそれが、なんともそっくりだということで参列者や親戚などに好評を博し、描いてほしいという依頼が舞い込むようになったとか。以来、似顔絵に目覚め、どんどんのめり込むようになったそうです。なんとその方、その当時70歳を超えていたというから驚き。似顔絵を始めるのに、年齢など一切関係ないということです。
「夢を追いかけるのに、年齢など関係ない」とはよく言われることですが、実際には例えば、還暦である60歳を迎えている人が、そこからプロ野球選手を目指すのはほぼ不可能なはずです。ですので、私は単に理想論を述べたい訳ではありません。
でも、似顔絵は本当に、年齢など関係ない。強い体力が必要な訳でもないし、特別な知能や才能が必要な訳でもありません。誰もが、いつでもどこでも、思い立ったら似顔絵を描くことができる。これは間違いのない事実です。
さて、少し話しが逸れましたが、70歳を超えてから似顔絵にのめり込んだという件(くだん)の方。これまでに描いてきた似顔絵は数知れず。プレゼントしてきた人だけでも数千人に上るそうです。似顔絵をプレゼントする時に、相手がとても喜んでくれる。恐らくこれがたまらなく嬉しくて、似顔絵を描き続けているのだと思います。そしてそれが、ご本人に「生きがいになっている」とまで言わしめる所以でしょう。
自宅のアトリエには、スポーツ選手などの有名人を始め、親戚や知人などの似顔絵が所狭しと並んでいるとか。また、今でも、老人ホームなどから数多くの依頼があるということです。
こういう方にはいくつになっても、ずっとずっと似顔絵を描き続けて、もっともっと多くの人を喜ばせてほしいと心から願ってやみません。
そして、こうやって似顔絵やその素晴らしさを広めてくださっていることが本当に喜ばしいのと同時に、改めて年齢や世代を超えた似顔絵の魅力を実感せずにはいられません。改めて言いますが、似顔絵を始めるのに、年齢など全く関係ないのです。