今回は、なぜ今、似顔絵が注目されているのかを改めて考えてみます。もちろん、国民のほとんどが親しんでいるメジャーな分野かと言われればまだまだですが、それでも昨今、本当に少しずつ、徐々に徐々にですが、注目度が向上しているのは間違いがないのです。一昔前に比べたら雲泥の差があります。これはこの世界に身を置いている者としての正直な実感です。
なぜ似顔絵が注目を集め始めているのか。その理由を一言で言えば、描き手の気持ちが伝わってくるからであると思われます。
社会環境の厳しさが日々その度合いを増し、明るいニュースが少なく、閉塞感が漂っている今の世の中において、人の心の温かさや、人情に触れるということを、人間が本能的に求め始めているからです。
描き手の気持ちが伝わるような、心のこもった似顔絵が、まさにそんな状況にぴったりという訳ですね。一言で言えば、「癒し」という言葉に近いでしょうか。
ではなぜ、似顔絵は描き手の気持ちが伝わるのでしょうか？
それもそのはず、自分が似顔絵を描いている時のことを考えてみれば、分かります。
似顔絵を描いている時は、（当たり前のことですが）モデルとなる人物のことを考え、その人の雰囲気やイメージをつかむために、とにかく一生懸命になるのが普通ですよね。
要するに、少なくともその時だけは、モデルのことで頭がいっぱいになっているはずです。極端に言えば、モデルに集中して、脳内に、他の事を一切考える余地がなくなってしまう。
そうなることで自ずと、そういう描き手の心や気持ちがこもった作品になるのです。
そして、それを受け取った人は、特に意識せずとも、その心や気持ちを感じてしまうものなのです。
例えば、プレゼントは、形式的なものや事務的なものよりも、気持ちがこもっているほうが嬉しいのは当然ですよね。
似顔絵をプレゼントとして贈ると喜ばれるのは、受け取った人が、そこにこもった気持ちを、十分に感じられるからなのです。
言い換えれば、似顔絵をプレゼントとして贈るということは、似顔絵そのものだけでなく、それを描いている過程や、その時の苦労までをもプレゼントするということになるのです。
つまり、結果出来上がったものだけでなく、それまでのプロセスまで一緒に受け取ってくれるということです（なんて素敵！）。
だからこそ似顔絵は、普通のプレゼントとは違った、ちょっと意外なプレゼントにもなるのです（いわば、「サプライズ」といった副次効果が期待出来たりもする訳です。サプライズって意外と、プレゼントを贈るという行為を盛り上げる、大事な効果ですよね）。
以前、私の似顔絵仲間（？笑）が、こんなことをこぼしていたことがあります。
「嫌いな人の似顔絵を描くのは難しい。全く知らない人なら描けるけど、その人のことを下手に知っていて、しかも好きではない場合は、本当に難しいし、正直辛いよ。描いている最中、ずっとその人のことを考えなければならないから。」
なるほど、なるほど、ですよね。
・・・ちょっとしつこいくらいに似顔絵をプレゼントすることの効果を言い連ねてしまいましたが、要はとにかく、それをもらった人が、嬉しく思う、喜ばしく感じるということなんです。
描き手の気持ちが伝わるもの、それが「似顔絵」。
そんな素敵なものが、人に頼んだりすることなく、いつでも自分で自由自在に描けるようになるとしたら・・・。
それって、とってもエキサイティングな、素晴らしいことだと思いませんか。
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