似顔絵にまつわるエピソード(その32)|似顔絵の描き方が驚くほど上達する方法

(※とある女性の手記です)
お前は、ドラえもんしか描けないと思ってたよ・・・。

これが、私が彼に初めて絵を、それも彼自身の似顔絵を描いてあげた時の、彼の第一声でした。

確かに、ドラえもんを描くのは言わばルーティンワークです。ほぼ毎日やっているという意味では、デイリーワークでしょうか。いや、というより、もはや息をするのに近いです。暇さえあれば、その辺のメモ用紙でもノートの切れ端でも喫茶店のナプキンでも、ドラえもんを描いてしまいます。ほとんど無意識だったりします。もう小さい頃から、何十年にも渡ってやってきていることなので、今更それを突っ込まれること自体が逆に意外な気がしたりします。あー、他の人が見るとそれほど普通のことではないのね、といった感じです。これまでドラえもんを描いてきた回数、というランキングがあったとしたら、もしかしたら私って世界一!?と思うくらいです。世界一は藤子不二雄さんじゃないの?という突っ込みは、この際なしです。

・・・にしても、ドラえもん「しか」描けないっていう言い方は失礼だろ、などと思いつつ、しばらく黙っていると、おそらくその気持ちが仏頂面となって表れていたのでしょう、すかさず彼からのフォローが続きました。

いや、ドラえもんは本当にうまいと思ってたけど、やっぱり他の絵を描いてもうまいんだね、と思って。うん。そういう意味だから。

あのさ、それ、フォローになってないから。そういう意味って、どういう意味だか、結局分からないから。今どき、というか、少なくとも、私の世代は、ドラえもんくらい、誰でもみんな、それなりにうまく描けますから。まーるかいてちょん、って、誰でもみんなソラで絵描き歌を歌えますから。そうですよね?

まぁ、そんな思いは一言も発せずに、フフフっと、不気味な笑いをしてその場はやり過ごしましたけど。ただ、ひとつだけ、決してストレートに彼には言えない、秘めた思いが私にはあるんですよ。それは・・・。

あんた自身がドラえもんに似てんだろ、ってこと。体型も含めて、大差ねーだろ、ってこと。

ま、そういうところが嫌いじゃないというか、むしろ好きだったりするんですけれども。

だからかな?彼の似顔絵を描くの、全然苦労しなかったというか、全く違和感がなかったというか、少しも迷いがなかったというか。いつものドラえもんを描くノリで。はい。極めてすんなりと(笑)。

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